チャイ

大学生になって一番したかったことが、世界を見て回ること。たまたま大学にアフリカの研究者がいたので、最初にアフリカのケニアに行くことを決め、アルバイトを掛け持ちして旅費を貯めた。当時は格安航空券もそれほど安くはなく、相当の金額を貯めて、2回生の夏休みにケニア行きを決行。途中、トランジットでインドのボンベイ(現ムンバイ)に1泊するという長旅だった。
インドに着いてまず驚いたのは、そこで生活する人々の圧倒的な貧しさと衛生環境の劣悪さ。初めて降り立った地がインドというのはかなり衝撃的で、すぐに食欲を失った。
しかし猛烈な暑さの中で、水分だけは補給しなければならない。麦茶のようなお茶もなければ、安心して飲める水もない。そんな中、売店で目に付いたのが清涼飲料水。すぐに馴染みのあるコーラを頼んだが(日本円で10円くらい)、これが一口飲んで思わず吐き出してしまうほどの不味さ。それ以上、飲む気にもならない。
のどがカラカラであるのを我慢して、マーケットの中をブラブラしていると、客引きに声を掛けられてインド女性の衣裳であるサリーのお店へ。上客が来たと思われたのか、ティーカップ入りの飲み物でのおもてなしを受けた。猛暑の中熱い飲み物なんて、とは思ったが、背に腹はかえられない。一口いただいてみる。美味しい。ミルクティーのようだが、少し味が違う。そう、これがガイドブックで読んだ「チャイ」だったのだ。ミルクがたっぷりの熱々のティーに、生姜などのスパイスが入っている飲み物である。砂糖もたっぷり過ぎるぐらいに入っていて、ちょっと驚きだったが、あまりの美味しさに一気に飲み干してしまった。あとでお腹を下すのではないかと少し心配ではあったが…。
最近では、大阪などの繁華街で「チャイ」を出すお店が増えた。「アイスチャイ」なるものもあるが、私はやっぱり、熱々で砂糖たっぷりの「チャイ」を、安心して飲みたいと思うのである。

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